"Feeling good (nice) wind" asuka sakaiというアーティストについて - ゆゆ式 Advent Calendar 2014
もうすぐ2年前になるアニメ放送開始前のゆゆ式には、謎が多かった。
特に音楽関連の情報が「EXIT TUNES」以外になかったため、人によっては当時不安しかなかった。
※EXIT TUNESがどういう音楽制作会社かは各自ご確認ください
しかし実際にはゆゆ式の魅力を最大限に引き出した仕上がりで、主題歌を含め、音楽まわりでも良い仕事をしてくれた。
そのひとつが劇伴、いわゆるBGMを担当した境亜寿香その人である。
境亜寿香 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%83%E4%BA%9C%E5%AF%BF%E9%A6%99
引用すると、元ナムコに所属していたアーティストで、ゲーム音楽を経たあとはm-floのリミックスコンテストに参加したり、オリジナル アルバムも2014年までの時点で3枚制作されている。
個人的には風のクロノア2で一部楽曲を担当していた印象が強かったので、ゆゆ式の件を知った時は結構衝撃を受けた。
Klonoa 2 - Going to Lunatea - YouTube
なお、Twitterで氏のアカウントをフォローしていた人は、2月の時点でゆゆ式を担当する旨のツイートをみることができたらしいですが、 私の場合、アニメのオープニングでasuka sakaiの文字を見る瞬間まで気が付かなかったので、アニメ音楽の前情報はそういうものなんだろうと諦めてます。
「ゆゆ式」レコーディング2週間目でやっと余裕が出てきました。 私ハッキングされてたのも気付いて無かったです。 pic.twitter.com/1IftjabC
— sakai asuka 境亜寿香 (@sakaiasuka) 2013, 2月 19
さておき、ゆゆ式のBGMは他のアニメに比べると全体的に大人しく、ヒーリングミュージックに近い印象があります。
内容が日常を描く作品なので当たり前だろうと思われる方もいると思いますが、作品によって表現方法は様々です。
日常系を謳う作品でも、シーンによってはアクセントをつけるために派手な音を起用してたりするものです。
分かりやすい例として、けいおん!のさわちゃん先生がらみのシーン(デスメタルっぽい)ですとか。
ドタバタしたシーンは賑やかな曲調にするため、ドラム系など激しい音色が採用されやすいです。
neg722は密かにAmen breakを仕込む百石元を応援してます
Amazon.co.jp: ガッテンだ!: 百石元: デジタルミュージック
※12/24追記、ニコニコ動画の方なぜか投稿者が削除したので試聴できるサイトで補完
正直サウンドトラックが試聴できるアニメ公式サイト少ないのよね。
ゆゆ式のBGM構想は、今までの4コマ系統のアニメで言えば、栗コーダーポップスオーケストラ(栗コーダーカルテット)が音楽を担当したあずまんが大王に近い。
学園コメディというジャンルではあるものの、日常生活の描写を中心とする作風をどういった雰囲気にして作り出すべきか。
萌え4コマの原点とも言われる作品と同じことを、ゆゆ式は求められていたものと思われます。
そして実際に作られたBGMは、生楽器の演奏による組み合わせを、カナダのレコーディングスタジオにて録音されました。
TVアニメ「ゆゆ式」劇伴レポート
http://www.yuyushiki.net/contents/hp0009/index00220000.html
この徹底した空気感の演出が、アニメにも功を奏したと言っていいでしょう。
海外のレコーディングスタジオを起用するのは、作曲家ごとに事情がありますが、先述したURL先を見ていただくと分かる通り、ゆゆ式の場合はバンクーバーの演奏家らが参加しています。
ちなみに使用している楽器については以下のとおり
ピアノ、グロッケンシュピール、クラリネット、フルート、チェロ、トランペット、アコースティックギター、エレクトリックピアノ、エレクトリックベース、ドラムス、マリンバ、バイオリン、トロンボーン、ヴィブラフォン、リコーダー、アコースティックベース、タンバリン、トライアングル、バスクラリネット、バンジョー、ハーモニカ、パーカッション、エレクトリックギター、グロッケンシュピール、エレクトリックドラム、シンセ、ベース、マーチングドラム、バグパイプ、チェンバロ、ウーリッツァーピアノ、メロトロン、トイピアノ、ハープ、ローズピアノ
(サウンドトラック付属ブックレットより、曲順で用いられた順に引用)
楽器リストを思いついたの書き終わる直前だったのでアーティストの書き起こしはまた別の機会に…
こうしてみると、あずまんが大王(というか栗コーダーカルテット)っぽいんですよね。もしかすると音楽プロデューサーあたりは、それを狙って起用したのかもしれませんが。
栗コーダーカルテットの場合は、主役となる楽器がリコーダーのため、吹奏楽的な印象が強いですが、ゆゆ式の場合は、ピアノをメインに据えているため、同じような楽器のバリエーションでも、かなり違う雰囲気にまとまるわけです。
曲によって切り替えているので、もちろんリコーダーが特徴的なSlow Tenpo(Oka-san Theme)や、Pizzicart(アイキャッチの音)もありますが、Teki-Paki(Yui's Theme)をはじめとして、ゆゆ式はピアノが主役なのです。
4コマ原作のアニメの数だけ音楽もありますが、少なくとも、音楽で日常を描くという事のヒントが、ここにあるのは間違いありません。
デジタル化が進み、DTMが普及し、音楽も打ち込むだけで本格的に作れる時代。
それでもなお、生演奏という味は失われること無く、表現の1つとしてあり続ける。
人の手で奏でるからこそできる音楽が心地よく感じられるのも、時代の流れに逆らっているからこそ、かもしれません。
境亜寿香氏はゆゆ式のあと、俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している(通称「のうコメ」)という作品で劇伴を担当して以降、特に目立った活動は見当たらない状態です。
Twitterでも、この記事を書いている時点で半年前にCMを担当した旨のツイートをされて以来、更新が絶たれているものの、活動記録自体はそんなにしていないようなので、気長に、まったりと、それこそ、ゆゆ式みたいに、気がついた時にまた巡り合えれば、それでもいいかな、と思わせられるアーティスト。
追いかけるのもいいですが、思いついた時にくつろげるのも、たまには良いんじゃないでしょうか。
ちなみにのうコメでも(参加した演奏家などは異なりますが)同じバンクーバーのスタジオでレコーディングした部分もあり、遺憾なく境亜寿香らしさを発揮していました。
こちらのアニメは私の地域で放送されていなかったので、いずれ機会を見つけて視聴してみたい所存ですので、のうコメの感想をお持ちの方がいましたら、よかったら聞かせてください。
そんな感じで、アニメのBGMを担当する音楽家を追いかけてみるのも面白いですよ。
もし、ゆゆ式のBGMで氏の音楽に興味を持っている方は、チェックしてみてください。
sakai asuka 境亜寿香 (@sakaiasuka) | Twitter
https://twitter.com/sakaiasuka」
IRMA records(境亜寿香が所属するレーベル)
http://www.irmagroup.jp/
TVアニメ「ゆゆ式」オリジナルサウンドトラック 「Feeling good (nice) wind」(ジャケットイラスト:まじろ)
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